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正社員に昇格

オーストラリアの動物を保護する仕事を始めてすでに1年半以上が経った今、やっとやや昇進して前の左の席(パイロットの席)に座って双発の飛行機を飛ばすことができるようになった。いや〜、長かった。ビザの問題から始まり、1年以上無給の雑用係として会社にしぶとく居残って、1年半以上の毒まき、飛行機酔いと戦ってやっと先が見えてきた。もちろんまだまだ給料は安く小さな飛行機ではあるけど、双発(エンジンが二つ)の飛行機を飛ばせるようになれば、次の就職は時間の問題。飛行経験が付くのを待つのみ。航空業界に詳しくない方は就職がどんなに困難か想像がつかないでしょう。オーストラリアでは今までに6万人弱のパイロットがいて現在約1万4000人の事業用パイロットがパイロットとしての職に就いていないそうです(航空局の情報)。6万人には事業用パイロットだけでなく、仕事を目的としない自家用操縦士も、まだ訓練中の免許をもっていないパイロットも含まれるのでまあ、どれだけ職がないか少しは想像できましたか?就職にはやはり、小さなセスナ機で何千時間も飛行経験があるよりも、すこし高度な双発機などの飛行経験があるほうがもちろん優遇されます。双発機の飛行経験を積めればなんとか旅客機の就職に辿りつけるようですが、その双発の飛行時間を貯めるのが大変。まず、自分でお金を払うには金が足りないし、双発の仕事は資格だけではまず無理で、経験がなくては誰も雇ってくれないので双発機での最初の仕事を得るのがまた困難なわけです。そして職に開きがあっても1万4000人で取りあいです。というわけで、ほんとに日本のドラマじゃないけど(見たことないけど)グッドラックが必要になってきます。
(現在2008年、航空業界の伸びに伴って、パイロットが不足し始め、エアラインパイロットの道は前ほど厳しくありません)


またこのオーストラリアの動物を保護する仕事は誰もやりたがらない仕事で20人ぐらい毒取り扱いのコースを受けたのに今仕事をできるのはたったの自分を含めたたった二人のみ。理由は低空(約150メートル)を飛ぶので気流が悪く、自分も含め20人に19人はゲロ袋を片手に帰ってきます。自分も一回のフライトで5回ぐらい吐いたぐらいとても苦痛な仕事で、酔い止め薬中毒になるかもしれないぐらい酔い止めを使わなくてはいけませんでした。腕に巻く酔い止めバンドは効きませんでした。奥さんにも体が辛いなら辞めたらどうかと心配されました。また、飛行機の揺れだけでなく、毒の注入してあるカンガルーの乾燥肉の匂いがかなりきつく、(ビーフジャーキーみたいなおいしい匂いとはまったく違います)、匂いを思い出しただけで吐き気をもよおす人もいるぐらいです。しかしそのきつい匂いにも自分は匂いのしない呼吸法(口で呼吸をするだけ)を習得し、なんとか第二関門クリアー。あとは、泊りで行く仕事が多く、毒を取り扱う仕事なのに給料もいまいちなので誰もやりたがらないというわけです。


誰もやりたがらないけど、誰かがやらなくてはいけないということで結局完全に毒まきから解放されたのではなく、たまにパイロットで飛ぶことができるようになった今でも毒まきもやらなくてはいけないはめになりました。それでも双発の飛行時間は非常に貴重です。みんないい仕事ばかりほしがります。これからオーストラリアでパイロットになろうと考えている人はパイロットといういい響きだけに誘われるだけの理由では2人乗り訓練用セスナ機で終わっても仕方ありません。芸人じゃないけど、嫌な仕事をしてでも自分の目標に辿り付く、そんなハングリー精神がないとこの世界では、特に僕ら外国人には就職の入り口は狭まるばかりです。会社のことを考えずに会社はいくらでも余っているパイロットのことを考えてはくれません。誰もやりたがらないけど、誰かがやらなければいけないというときは自分を売り込むチャンスです。楽ではありませんが、自分のように双発機の仕事に変わって帰ってくるのかもしれないので頑張ってみましょう。今では1週間に50時間の双発機長時間が貯まることもあります。やっと今までの苦労が報われました。でもまだまだ先のほうが長いです。
(現在2008年、航空業界の伸びに伴って、パイロットが不足し始め、エアラインパイロットの道は前ほど厳しくありません)


新たな難関、ATPL

ATPLとはAir Transport Pilot Licenceの略で、定期便のエアラインの機長になるための免許です。これが一番上の免許。空港でよく見かける腕に4本のゴールドストライプをつけているジャンボジェット機などの機長になれる免許です。もちろん、この免許を取ったからと言ってすぐに機長になれるような簡単な世界じゃありませんよ。ほかに、免許と呼ばれない資格はたくさんありますが、免許と呼ばれているのはこれが最高の免許。と言っても免許と呼ばれているのは、自家用、事業用、ATPLの3種だけですけどね。
さて、なぜATPLが難関なのか。難関と言えば学科試験。7科目の学科試験を1科目100ドル以上も出して受けなくてはいけない。まあ、払う値段はみんな同じだから良しとして、この試験勉強がなかなか時間を要するのですよ。自分は、期限のないことをやろうとすると、だらだらしてしまうほうなんでけれども、準備がしっかりできていないのに試験を受けたいとも思わない。なので、ここは自分との戦いですよ。いついつまでに7科目終わらせる。ということで、仕事から帰ってからと休みの日のあいている時間のほぼすべてをついやし、一気に抜け切りました。といっても1科目1ヶ月ぐらいのペースで。コースを受ければもっと短期集中でできたけど、なんせコース受けてる時間もお金もない。本だけ仕入れて独学ですよ。約2年半前に試験を受け始めましたけど、2つ受けて2つとも悪い点数で不合格だったので、出直しだと思い、一回中断してしまったのが大間違い。なんと、最初に試験を受けてから3年以内に7科目合格しなければ今まで受かった科目も無効になってしまうというアホな条件が付いていました。それに気付かずにまた試験を受け始め、最初の2科目は合格したものの、3年のリミットが過ぎ無効。またすべてやり直し。そりゃないよ〜。一科目は96点で自己記録を更新したのに。ともだちにそのこと話したら、みんなそんなアホルールしらないようで、中には6科目無効になった友達もいてかわいそうすぎる。それを聞いて2科目だけ失った自分はまだラッキーなほうだったと気持ちを切り替えて全試験受けなおし。7科目中、1科目以外は一発合格で平均点86点取れましたよ。いや〜、もう勉強したくない。コンピューターで答えを送信して、数分で合否結果が画面に出ますが、結果を待つ時の心臓の鼓動の大きなこと。はあ〜、今となっては終わったこと。すっきりしたあ。
ATPLを取るには試験の他に、1500時間の飛行経験と、そのたいろいろ。その他いろいろの中に100時間の夜間飛行というのがありますが、これがまたなかなか貯まらない。なんせ、インストラクターなんかやってたら、夜間飛行の訓練でしか経験がつめないけど、冬は天気が悪くて夜飛べないし、夏になったところで、生徒が夜間飛行をするのはたったの10時間程度。ということは、生徒10人で100時間。でも10人をひとりでうけもつわけにはいかないので、ほかのインストラクターと分け与えたら、2,3年はかかりました。苦戦のすえ、ATPL無事取れましたけど。


エアライン面接に呼ばれる

この頃(2006年)は、免許を取り始めた頃の、仕事がまったくないという状況とはまったくちがく、航空業界の伸びに伴って、どこの航空会社も充分なパイロットがみつからずに困っているという状況に変化していました。しかし、双発機による、充分すぎるほどの飛行時間がたまったにもかかわらず、なかなかエアラインから面接に呼ばれない。先がまったく見えないので、大学でお世話になった航空科の講師に相談をすることにしました。すると、オフィスからすぐに知り合いに電話をかけてくれて、いろいろ手配してくれようとしたのですが、うまくいかずに終わりました。今度ここへ電話してみなさいと言われ、家に帰ってさっそく電話してみると、パイロット採用担当の人が、「あら、あなたずっと応募してたの?なんで今まで面接に呼ばなかったのかしら?」と、なんで条件を満たしているのに面接に呼ばなかったのか不思議がっている様子で、次の日に面接に招待してくれました。その講師からは、相当なへまをしなければ受かるからと言われていたので、大喜びで面接に望みました。しかし、準備がまったくできていなかった。面接に呼ばれる前から準備をしていなくてはいけなかったのに、今までまったく先が見えなかったために、何を準備したらいいかもわからずに、まったく準備不足で面接に挑んだら、どんなにパイロット不足の時代でも使えないパイロットは落とされます。ということで、面接には不合格。このままじゃいけないなあ。



転職

2006年4月、新しい仕事に就きました。転職と言ってもパイロットをやめたわけではありません。インストラクターや毒撒きの仕事から、チャーターの仕事に転職です。車で言えばタクシーのようなもんで、エアラインに入るには人と接する機会の多いチャーターの経験者が優遇されるようです。パースから1500キロ北のKARRATHAというところで、主に石油会社や鉱山の労働者を乗せる仕事です。この会社はタービン機(ジェットエンジンと同じ原理でプロペラを回す)も持っていて、みんな1年ぐらいでエアラインに入っていて、まるでエアラインパイロット養成所のようなところ。カンガルーマークのオーストラリア最大手を含め、次々とエアラインから面接に呼ばれてエアラインパイロットになっていきます。前の仕事と比べてある程度は昇格です。

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